移植腎を長持ちさせるために

移植腎を長持ちさせるためには以下の4つが特に重要です。

01しっかり服薬

処方された薬は、毎日決められた時間に決められた量を必ず服用しましょう。
腎移植フォローセンターには、腎移植に詳しい薬剤師が常駐しています。免疫抑制薬のことや、薬と食事の飲み合わせのことなど、お気軽にご相談ください。

  • ※お電話でのご相談は、13:00〜16:30の間に受け付けております。お電話の際は、診察券番号とお名前をお伝えください。

02定期通院

医師の指示に従い定期的に腎移植フォローセンターに通院して、体の状態をしっかりと確認し、異常があれば早めに対応しましょう。

03生活習慣病予防

肥満や高血圧に気をつけましょう。特に、体重の管理はとても重要です。肥満は腎機能の悪化をもたらしますし、高血圧や糖尿病などを招く大きな要因となります。
腎移植後に患者さん自身ができる健康管理はそれほど多くない中、「肥満を防ぐ」ことは最も重要なポイントといえるでしょう。
普段から食事の内容を意識し、運動を心がけましょう。

04がん検診

腎移植後5年以上経過した方、または40歳以上の方はできるだけ検診を受けましょう。
腎移植後の発がんは多いと考えられていますが、透析患者さんと比較すると必ずしも多いわけではありません。しかし、健常者と比較すると、がんの発生頻度はやや多いのは確かです。
腎移植外来では、腎機能は診ていますが、がん検診を行っているわけではありません。腎移植後5年以上経過した方、または40歳以上の方は、がん検診を受けるようにしてください。通常の人間ドックや脳ドックなどを受けると良いでしょう。

定期的に受ける検査一覧

腎移植後に受ける定期検査の種類と推奨頻度

検査項目 推奨頻度 この検査でわかること この検査が必要な理由
1 腎エコー検査 年1回~2回 移植腎の血流や形態を確認し、腫瘍や結石など異常が生じていないか。古い腎臓にがんなどの異常が生じていないかがわかります。 日頃行っている血液検査や尿検査だけでは、腎臓の血流や形態の異常を見つけることはできないため、この検査を行います。
2 蓄尿検査(24時間) 年2回 腎機能に障害がないか確認をします。 通常の尿検査で蛋白尿を指摘されても、その時の状況や尿の濃さによって、蛋白尿の程度は大きく影響されます。薄い尿の時は、尿蛋白は少ないという結果になります。そこで、24時間に出る尿蛋白を正確に測ることでより詳しく腎機能をはかることができます。
3 EBウイルス検査 移植後6カ月以内は月1回、その後は年1回 EBウイルス感染症の診断をします。 EBウイルスは、悪性リンパ腫を起こすことが知られており、検査でウイルスの増殖の程度を測定することで、病気を早い段階で防ぐことが重要になります。
4 抗ドナー抗体検査
(ルミネックス)
少なくとも年1回 慢性拒絶反応の原因となる抗体を検索します。 抗体ができるとそれに引き続いて拒絶反応が起きるため、抗体を検査することにより、拒絶反応の予防、治療に非常に役立ちます。国際的ガイドラインでは年1回の測定が推奨されています。
5 BKウイルス検査 移植後6カ月以内は月1回、その後は年1回 BKウイルス感染症の診断をします。 BKウイルスは腎臓について腎炎を起こすことが知られています。一旦、腎炎になってしまうと治癒は困難になり、移植腎の廃絶の可能性も高まります。
6 人間ドック 年1回(最低2年に1回) 受ける検査にもよりますが、さまざまなことがわかります。がんが見つかることもあります。 移植者はがんにかかる可能性が一般の健常人に比べてやや高いといわれています。一方で、がんも早期発見できれば、それだけ治癒の可能性も高まるため、できるだけ早めに見つけることが重要になってきます。
7 CT検査
(人間ドックに含まない場合)
年1回 移植者が気を付けたい、腎臓がんや胃がんが見つかることがあります。
8 移植腎生検 移植後1年、3年、5年、以後5年ごと
移植直後の2週間~半年ぐらいは適宜行う
移植腎に拒絶反応や原疾患の再発が起きていないかどうか等がわかります。 移植腎をより長くもたせるために、定期的に移植腎を直接確認して、異常が起きていないかを確認する必要があります。
  • 1~4は余丁町クリニックで受けてください。
  • 6は外部の健診センターなどをご自身で受診し、結果を持参してください。
  • 7,8は主治医の指示に従って受けるようにしてください。

※人間ドックでは以下の検査を受けるようにしてください。

  • 便潜血検査:腸管からの出血の有無、大腸ポリープや大腸がんの有無がわかります。
  • 胸部レントゲン:肺炎や結核、腫瘍の有無がわかります。
  • 心電図:心臓疾患の有無がわかります。
  • 胃透視検査または胃カメラ:胃部の炎症、潰瘍及び腫瘍の有無がわかります。
  • 骨密度、骨塩定量検査:骨粗しょう症の有無がわかります。
  • 腹部超音波検査:消化器病変の有無がわかります。
  • 子宮がん・乳がん・前立腺がん検診:がんの有無がわかります。
    (子宮がん検診は30歳以上、乳がん検診は40歳以上、前立腺がん検診は60歳以上の方)